羽田圭介著「スクラップ・アンド・ビルド」概要、感想・レビューまとめ
羽田圭介さんが書かれた「スクラップ・アンド・ビルド」という本をご紹介します。
Contents
ご紹介する本
【タイトル】スクラップ・アンド・ビルド
【著者】羽田圭介
【発売日】2015/8/7
【出版社】文藝春秋
【タイプ】単行本(121ページ)
【価格】1,320円(税込)
著者について
日本・東京都生まれの小説家。明治大学商学部卒業。2003年に『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。2015年に『スクラップ・アンド・ビルド』で芥川賞受賞。
作品概要
第153回芥川賞受賞作
「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!
感想・レビューまとめ
【引用:楽天ブックス】
- 投稿日:2015年09月07日
無職の孫と要介護状態の祖父と母親の同居。
要介護状態の祖母と無職の時に同居していて些細な動きとかにイライラしていた記憶があります。
それが凄く共感を覚えました。
言葉掛けとかも主人公と一緒でした。
両親がイライラしていたのを思い出します。
その事を余り暗く書いていない事が良いと思います。
- 投稿日:2016年01月02日
本の内容をそれとなく情報で知ってからずっと読みたいと思ってた本でした。
一人暮らしのお年寄りを定期的に訪問する仕事と
乳幼児とおかあさんを対象にした仕事をしています。
ばあちゃんが亡くなってから13年一人暮らしをしてきたじいちゃんが
我が家に一緒に住むようになって3年半。
もう内容がリアル過ぎて……
わかることばかりで
うちのじいちゃんだけじゃないのだと救われました
現実にはすごい大変なのに「そうそう」って頷くこと多くて笑ってしまった。
足が弱ってイタイイタイはずなのに階段のぼってすまして二階にいるし…..
ディサ-ビスではいきなり車いすの人になっていたり
介護士の若いお姉さんと手つないで嬉しそうにしてるの見てしまった日の複雑な感情。
同じようなことばかりです。
わかり過ぎて辛いのに…….笑ってしまう。
題材は暗いのに読後はこころが少し晴れました。(余裕も!(^^)!)
決して長編ではないのに読み応えありました。
最後のぺ-ジの文章があとをひくように残ります。
ありがとう。
- 投稿日:2015年09月11日
同じく年寄りと暮らす身なので共感し、購入しました。
一気に読めました。
投稿日:2019年10月05日高齢者の介護というテーマを、このような形で小説に昇華する発想は予想を超えていた。
うーん、なるほど。「死にたい」が口癖の祖父には、私だったら「じゃあ早く死ね!!」と言いたくなってしまうであろう。家族ならなおさらそうなってもおかしくない。
が、孫の健斗は「死ね!!」ではなく「祖父の願いを叶えるための手伝いをしよう」と考え、「安楽死」を与えようとする。
その思考の中には死んでしまえと思う自分への罪悪感や、就職活動が上手くいかない自分の現実からの逃避的な意味もあるだろう。(明文化はされていないけれど、人の死を軽く扱う映画を意識的に観るなどそれらの“裏”心理を感じさせる描写が上手。)そして、優しく、祖父の願いを叶える至れり尽くせりの介護によって祖父の行動を奪い、衰えさせて安楽死へ導こうとする。祖父の行動や思考を奪いながら祖父を反面教師にして肉体改造に励み、勉強に前向きに取り組む。この発想は本当に面白い。
で、なんだかんだで情に動かされ、日常のなかの事件により「祖父は本当に死にたいのか?」「いや、生きたがってるのでは、、、?」と思い直す主人公。
かなり屈折してるけどいい孫だよなぁ。
自分だったらなかなかできないだろう。最終的には祖父の作戦だった?という深読み感想も見かけて、もしそうだったらとんでもないじいさんだな、、、と思いつつ、最後の別れのシーンではイライラさせる天才ながらどこか憎めない死にたいおじいちゃんと卑屈でプライドばかり高いけど素直な孫に、確かに家族愛があることを感じさせる。
あー、面白かった。
投稿日:2019年07月04日テレビで観た著者のイメージ通り、ちょっと理屈っぽくて、がむしゃらで、でもなんかピュアな話だった。
「早くお迎えが来てほしい」というお年寄りあるある。
返事に困るし、ちょっと面倒、、と思うけれど、自分もいつか言ってしまうのかも。
生き物である以上、生に執着するのは、本能なのでしょう。 投稿日:2019年07月02日祖父はただのボケ老人だったのか、全てを見透かした演技者だったのか、回収されない伏線に疑問が残るが自分は後者だと感じた。祖父はわざと弱っているように演じることで、無職の孫に対し介護をするという役割と存在意義を与えて居場所をつくってあげていたのではないか。後半で就職先が決まり出ていく主人公を祖父は自分のことは気にしないで頑張れと送り出し、互いの顔が見えなくなるまで手を振り続ける場面にも孫を思う祖父の愛情を感じた。